祝報
No.001 「瑞宝小綬章を受章して」
平成20年春の叙勲に際し、瑞宝小綬章 拝受の栄に浴すことができました。このたびの栄誉は、永年にわたりご指導いただいた諸先輩、私と仕事を共にした多くの方々の心温かいご支援の賜物と心から感謝しています。顧みますと、学生時代、名市大医学部第一病理学教室に学生研究生として、佐藤寿昌先生に病理学の手ほどきをご教示いただき、昭和39年の医学部卒業、豊橋市民病院での臨床研修の後、直ちに第一病理学教室助手として研究、教育に携わり、それ以来、この分野の道を歩むことになりました。当時、世界で初めてラットに実験胃がんを作ることに成功し、その後の胃がん発生における高食塩食摂取のリスクを検証する実験に発展しました。いずれも懐かしい思い出となっています。昭和49年に佐藤先生が定年退職され、奈良から伊東信行先生をお迎えしましたが、伊東先生のご尽力により米国ネブラスカ大学エプリがん研究所の客員助教授として留学する機会を得ました。帰国後1978年には、国立衛生試験所(現・国立医薬品食品衛生研究所)に新設された安全性生物試験研究センター病理部室長に招かれました。その後も発がん研究を続けることができましたが、数年後、部長の小田島先生が急逝されたこともあって、国政の化学物質の安全性評価分野における各種評価委員会に参画する機会を得ました。中央薬事審議会の種々の新医薬品調査会を満期16年間にわたり務めたほか、食品衛生調査会、生活環境審議会、中央環境審議会、残留農薬安全性評価委員会、化学物質特別委員会、GLP評価委員会、OECD毒性試験ガイドライン制定委員会日本代表、ICH国際会議の専門委員など、国民の健康維持に関わる重要事項の審議を通じ厚生行政に寄与することができたと自負しています。平成10年病理部長を退官後、病理ピアレビューセンターを開設し、微力ながら申請資料の病理診断の精度管理に貢献しております。今後ともご指導、ご支援を賜りますようにお願い申し上げます。