受賞報告

<瑞友会賞 臨床部門>
受賞課題:高難度消化器外科(肝胆膵領域)におけるロボット手術の先駆的技術開発とその伝承

瑞友会賞(臨床部門)受賞のご挨拶

[更新日:2025年02月18日/掲載日:2025年02月18日]
名古屋市立大学大学院医学研究科
消化器外科 講師
森本 守(H13卒)
森本 守

この度令和6年度の瑞友会賞(臨床部門)に選出して頂き、瑞友会会長の松本隆先生をはじめ、関係各位の方々に心より感謝申し上げます。また、このような素晴らしい賞を頂けたのは、消化器外科 瀧口教授のご指導ならびに教室員の方々のご協力の賜物であり、この場をお借りして厚く御礼申し上げます。

私は2001年(平成13年)に名古屋市立大学を卒業後、旧第一外科(当時は真辺教授)に入局いたしました。2002年(平成14年)よりいなべ総合病院に赴任。水野章先生のご指導のもと、外科医としてのキャリアをスタートいたしました。2004年(平成16年)より刈谷豊田総合病院に赴任。田中守嗣先生、早川哲史先生のご指導のもと、低侵襲手術や肝胆膵外科の基礎の修練を行いました。さらに2009年(平成21年)より愛知県がんセンター中央病院のレジデントとしてがん診療の修練を行い、2013年(平成25年)に名古屋市立大学消化器外科へ帰局。松尾洋一先生(現東部医療センター教授)のご指導のもと、GEM耐性膵癌におけるCXCR4/CXCL12 axisの発現、またそれを抑える新規薬物治療の開発についての研究を行い2015年(平成27年)に学位を取得させて頂きました。

大学では2016年頃より低侵襲手術に積極的に取り組み始めました。同時に、腹腔鏡下手術最大のメリットである拡大視効果による肝内脈管の微細解剖構造の解明を研究テーマとして、学会や論文の発表を行なっておりました。その業績が認められ2021年に開催された第32回日本肝胆膵外科学会における企画であった「低侵襲肝胆膵外科手術における微細解剖の解明」というExpert Consensus Meetingの末席に加えて頂き、その成果を海外のExpertとともに共同著者として論文化いたしました(J Hepatobiliary Pancreat Sci. 2022 Jan;29(1):51-65)。先日、この論文を高インパクト論文として表彰して頂きました。この場をお借りして関係各位の方々に御礼申し上げます。

ロボット手術は2020年から取り組んでまいりました。当時は肝胆膵外科手術に対するロボット手術がまだ保険収載されていませんでしたが、臨床研究として取り組む機会を頂きました。現在では、本邦でもほとんど行われるこのない高難度手術をロボット手術で行なっており、この領域においては全国でもトップクラスの施設の一つとなることができ、学会等でも高い評価を頂いていると自負しております。さらに当院は、ロボット肝胆膵外科手術の指定見学施設(メンターサイト)にも認定されています。肝臓領域、膵臓領域両者が認定されている施設は全国で4施設しかなく、当院はその一つとして認定されています。また当院への手術見学希望は、全国で最も多い施設の一つとなっています。これまでに来られた手術見学者数は累計126名となり、特に大学病院や主要センター関係の先生を多く受け入れおり“名市大式ロボット手術”の普及の一助となっています。

今後も日本から世界の名市大として翔けるよう、さらなる手術手技の研鑽、後進の指導、これに関する研究とその発信に精進して参る所存です。瑞友会の皆様におかれましては、今後ともご指導ご鞭撻のほど何卒よろしくお願い申し上げます。

略歴
  1. 2001年3月
    名古屋市立大学医学部卒業
  2. 2001年4月
    名古屋市立大学第一外科入局
  3. 2002年4月
    いなべ総合病院外科
  4. 2004年4月
    刈谷豊田総合病院外科
  5. 2009年4月
    愛知県がんセンター中央病院消化器外科レジデント
  6. 2011年4月
    刈谷豊田総合病院内視鏡外科医長
  7. 2013年4月
    名古屋市立大学大学院医学研究科消化器外科
  8. 2015年4月~
    学位取得、名古屋市立大学大学院医学研究科消化器外科助教
  9. 2020年4月~
    名古屋市立大学大学院医学研究科消化器外科講師
森本 守氏 授賞理由

ロボット手術の肝胆膵領域において、卓越した技術を持ちその評判も高く、当院での手術見学者や手術指導要請が絶えない状況です。これまでの5年間の彼の手術に関する見学実績ですが、以下のごとくです。

累積見学者数:107名(大学関連見学者数:42名)

他院への指導回数:のべ55回(大学病院への指導回数:のべ37回)

高度な膵臓、肝臓のロボット手術をしておりますので、大学病院からの見学者が多いのが特徴です。

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