受賞報告
受賞課題:男性不妊症への取り組み
瑞友会賞(臨床部門)受賞のご挨拶
教授 梅本 幸裕(H7卒)
この度令和5年度の瑞友会賞(臨床部門)に選んでいただき、瑞友会会長松本隆先生はじめ、役員の皆様にお礼申し上げます。
私は平成7年名古屋市立大学を卒業後、泌尿器科(当時郡教授が着任2年目)に入局しました。そこで始まったばかりの男性不妊症研究グループに所属し、現在も西部医療センターで男性不妊症治療を継続しております。
平成12年(2000年)大学院に進学し、基礎研究として精巣への遺伝子導入を行い学位取得をしました。平成18年(2006年)に大学に帰局してから本格的に男性不妊症の臨床を開始しました。研究グループのリーダーである佐々木昌一先生(昭60卒)に手取り足取り、診断から手術に至るまでさまざまなことを教えていただき、10年間二人三脚で不妊治療に当たって参りました。佐々木先生が大学から離れた後は岩月正一郎先生(平18卒)と男性不妊症の臨床、研究を継続してきました。その一方で平成21年(2009年)から腎・泌尿器科学教室の医局長を8年間担当してきました。医局長として医局員がどのようにしたら各学会で受賞できるかを考え各自の時間をマネージメントすることが主な仕事でした。このため今回自分が賞をいただくということは初めてのことで、驚くばかりであります。これも男性不妊症について何も知らない私を地道に指導していただいた師匠の佐々木先生、またその診療に専念できるようにサポートいただいた先輩、後輩の教室員のみなさまのおかげと感謝しております。
この男性不妊症の治療を継続して行ってきたことが評価され、今年、令和5年6月に日本アンドロロジー学会の大会長をさせていただきました。コロナでの制限もほぼなくなっておりましたので、対面形式で2日間、基礎系、臨床系の話を盛り込んで勉強になる会が開催できたと感じております。全国の会員に参加してもらい、楽しくまた勉強になる会であったとの感想をいただきました。
また同じく今年、令和5年9月には西部医療センターに生殖医療センターが開設され、その責任者を大原院長からは仰せつかりました。平成29年4月に西部医療センターに赴任して、桜山で行っていた男性不妊症の診療を当院でも本格的に開始しました。また同時に不育症の大家である産婦人科の尾崎康彦先生も一緒に西部医療センターに着任されました。このため西部医療センターでは男性不妊症と不育症が行える数少ない病院の位置づけでしたが、是非女性不妊症の診療を、の声を受け、開設に至りました。準備の段階で産婦人科教授の杉浦先生、准教授の佐藤先生には医師の派遣をお許しいただきこの場を借りて感謝申し上げます。男性および女性の不妊症及び不育症を同一部署で診察し、そのまま手術、あるいは出産までシームレスに同院で行えることは、全国的にも珍しい病院と考えております。
今後はこの賞に恥じないように、中部地区の不妊治療のメッカ、といわれる施設になれるよう精進してまいります。今後とも瑞友会の皆様におかれましては、ご指導ご鞭撻のほど何卒よろしくお願い申し上げます。
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- 1995年
- 名古屋市立大学医学部卒業
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- 1995年
- 名古屋市立大学病院 臨床研修医
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- 2006年
- 名古屋市立大学大学院医学研究科 腎・泌尿器科学分野 助手
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- 2007年
- 同院 病院講師
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- 2010年
- 同院 講師(医局長兼務)
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- 2017年
- 名古屋市立大学大学院医学研究科 高度医療教育研究センター 教授(名古屋市立西部医療センター 泌尿器科特別診療科部長)
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- 2021年
- 名古屋市立大学医学部附属西部医療センター 泌尿器科 教授(病院長補佐兼任)
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- 2023年
- 同院 副病院長
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- 2023年
- 同院 生殖医療センター長(副病院長兼任)
- 梅本幸裕氏 授賞理由
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平成7年に本学卒業、腎・泌尿器科学分野の助手、講師を経て2017年から西部医療センターに着任。全国で71名しかいない泌尿器科の生殖医療専門医であり、日本生殖医学会の代議員を10年以上務め、中部地区における男性不妊治療のオピニオンリーダーとして活躍されている。
診療のほか、学術活動、社会活動は全国でも知られ、2023年6月に開催された日本アンドロロジー学会第42回学術大会の大会長を務めた。また同年9月から開設される西部医療センターの生殖医療センター長に着任、これからも中部地区における生殖医療の臨床、研究両面を中心となって牽引していくことが期待されている。以上のことから、瑞友会賞の臨床部門にふさわしいと判断する。