受賞報告

<瑞友会賞 学術部門>
受賞課題:消化器がんに対する尿中バイオマーカーの開発

瑞友会賞(学術部門)受賞のご挨拶

[更新日:2023年02月27日/掲載日:2023年02月27日]
名古屋市立大学 消化器・代謝内科学 講師 志村 貴也(H9卒)
志村貴也

この度は、令和4年度 瑞友会賞(学術部門)の大変栄誉ある賞を受賞させていただき、身に余る光栄に存じます。また、瑞友会会長の松本隆先生をはじめ、選考委員の先生方に厚く御礼申し上げます。

私は1997年に名古屋市立大学を卒業後、名古屋市立大学旧第一内科(現 消化器代謝内科学)に入局し、消化器内科医として働いてきました。その間に様々な先生方や症例との出会い、学会活動などを経て、医師として研究者として少しずつ成長することができました。これも、消化器代謝内科学の歴代の教授や医局の先生方のおかげであり大変感謝いたします。

国家試験に合格し、医師になった頃に想像していた自分の将来像とはかけ離れた状況になっている現状であり、人生の面白さを実感する日々です。

これまで様々な施設で研鑽を積ませていただきましたが、今の私には、医師としての大きな転機が四つありました。一つめは、磐田市立総合病院消化器科での勤務です。連日のように夜間オンコールをうけ、目まぐるしく多忙な日々ではありましたが、数多くの症例を経験できたことにより消化器内科医としての礎を築くことができました。二つめは、大学院への入学です。基礎研究を通じ、臨床とはまた違った側面からみる視界は新鮮であり、新たな発見をし、論文化することの楽しさを学びました。三つめは、国立がん研究センター東病院での研修です。そこでの経験は何ものにも代えがたく、短期間ではありましたが、今の私の臨床研究者として考えの多くの部分が形成されました。一方で、不思議なことに、最先端の臨床を学びにいったはずの国立がん研究センターにおいて、基礎研究の大切さを深く認識し、大学に帰局後には、一心不乱に臨床と基礎研究の両面に尽力することができました。四つめは、ハーバード大学医学部での研究生活です。3年半の間、海外でどっぷり基礎研究につかり、様々な分野の研究者達にふれることにより、自分の将来の研究像を形づくることができました。

そういったなかで、これまでに最も注力してきた研究題材が、本受賞課題である「消化器がんに対する尿中バイオマーカーの開発」です。尿中に微量に含まれるタンパクやマイクロRNAなど様々な因子に着目し、胃癌・食道癌・大腸癌を、無侵襲かつ高感度に同定する新規のバイオマーカーを複数同定するとともに、複数の国際特許出願を行い、将来の実用化にむけ検証を行うところまでくることができました。最初はゼロからのスタートであり、たくさんの大変なこともありましたが、今こうして研究成果がだせるようになりましたのも、教室の片岡教授や同僚の先生方はじめ、昼夜問わずたくさんの研究を一緒にしてきてくれた大学院生の先生達のご尽力にほかならず、この場をお借りし深く御礼申し上げます。

このように、臨床から基礎研究まで、医学のおもしろさ・奥深さを知る機会や経験をたくさんできましたのは、名古屋市立大学の諸先輩方・同僚の先生方などの多くのサポートのおかげであり、大変感謝しております。今回の瑞友会賞の受賞を励みに、これからも臨床・研究に邁進するとともに、医療や医学研究の面白さを伝え、次の世代を育成することが恩返しになることと思う日々です。このたびは、誠にありがとうございました。今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。

略歴
  1. 1997年
    名古屋市立大学医学部卒業
  2. 1997年
    名古屋市立大学病院 第一内科臨床研修医
  3. 1998年
    名古屋逓信病院 内科医員
  4. 2001年
    磐田市立総合病院 消化器科医員
  5. 2005年
    名古屋市立大学 消化器代謝内科学 医員
  6. 2008年
    国立がんセンター東病院 短期がん専門修練医
  7. 2009年
    名古屋市立大学 消化器代謝内科学 助教
  8. 2010年
    名古屋市立大学 消化器代謝内科学 病院講師
  9. 2011年
    名古屋市立大学病院 臨床試験管理センター
    副センター長 兼任
  10. 2012年
    ハーバード大学医学部 外科・血管生物学
    博士研究員
  11. 2015年
    名古屋市立大学 消化器代謝内科学 病院講師
    名古屋市立大学 消化器代謝内科学 講師
志村貴也氏 授賞理由

志村氏は、尿試料を網羅的に解析することによって尿中に存在する消化器がんのバイオマーカーを複数同定しました。これにより、胃がん・食道がん・大腸がんを尿のマススクリーニングで早期発見し、患者予後の改善につながる可能性があります。成果は著名な国際英文誌で報告され、4種の国際特許も出願しています。

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