受賞報告
受賞課題:頭頚部癌の手術治療
瑞友会賞(臨床賞)受賞のご挨拶
花井信広(はない のぶひろ)(H8卒)
この度は栄えある瑞友会賞(臨床部門)にお選び頂き、大変光栄に存じます。このような栄誉は自分とは無縁のものと思っておりましたので、甚だ恐縮しております。瑞友会会長、副会長をはじめとする諸先生方、選考委員の先生方、これまでご指導賜りました多くの先生方にこの場を借りて厚く御礼申し上げます。
私の従事しております愛知県がんセンター頭頸部外科は年間の頭頸部外科手術件数約500件を誇るハイボリュームセンターですが、同院レジデントとして平成12~13年、また名市大から最初の正規スタッフとして平成19年から現在まで通算15年勤務しております。平成30年4月からは、部長に就任し、同部を率いています。
頭頸部外科の守備範囲は頭蓋底から鎖骨、上縦隔までの範囲で多くの臓器が集合しており、治療内容と術式が多岐に渡ります。頸部郭清術は頸部リンパ節転移の制御のために行われる外科治療の基本術式で、頭頸部がん専門医にとって習得が必須の術式であります。同センター頭頸部外科は伝統的に手術手技、中でも頸部郭清術に定評があり、その技術の伝承者として多くの活躍の機会を与えて頂いています。
がん専門病院におけるもう一つの大きな使命は後進の育成です。専門領域を熟す為には、ある一定期間のトレーニング・研修期間を経験する必要があり、自らもその必要性を痛感した一人です。頭頸部外科は現在、耳鼻咽喉科領域の中の一専門分野でありますが、きちんとした外科手術のトレーニングを受けて行われるべき、緻密な解剖と複雑な手術が要求される分野であります。各施設で指導的立場に就くことのできる人材の教育を行い、今後も技術の伝承に努めたいと考えております。またそのことから翻って、この受賞は良き同僚や部下に恵まれたお陰でもあり、改めてここに感謝の意を表したいと思います。今後も、多くの方々との絆を大切にして、仕事に邁進したいと存じます。
臨床研究分野においてはAMED課題でもあるJCOG(Japan Clinical Oncology Group)研究「Stage I/II舌癌に対する予防的頸部郭清省略の意義を検証するランダム化比較第III相試験」の研究事務局を務め、頭頸部がんグループの研究を推進しています。JCOGは日本で最も活発な臨床試験グループの一つであり、頭頸部がんグループは2011年に独立した比較的新しいグループですが、現在33施設で構成されています。このプロジェクトできちんとした結果を出し、トップジャーナルに掲載することが現在の私の抱負となります。本賞の受賞はまだまだ現役で奮闘中の私に対する激励の賞であると受け止めており、今後も精進を続けていく所存であります。
今後もご指導ご鞭撻を賜りますよう、何卒宜しくお願い申し上げます。
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- H8年4月
- 名古屋市立大学耳鼻咽喉科入局
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- H9年4月
- 一宮市立市民病院耳鼻咽喉科医員
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- H12年4月
- 愛知県がんセンター頭頸部外科レジデント
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- H14年4月
- 愛知県がんセンター研究所発がん制御研究部(~H16年3月)
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- H14年4月
- 名古屋市立大学耳鼻咽喉科臨床研究医
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- H16年4月
- 名古屋市立大学耳鼻咽喉科助教
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- H19年8月
- 愛知県がんセンター頭頸部外科医長
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- H30年4月
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愛知県がんセンター頭頸部外科部部長
現在に至る
- 花井信広氏 授賞理由
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愛知県がんセンター頭頚部外科は年間の頭頚部外科手術件数約500件のハイボリュームセンターである。平成19年に採用され、平成30年からは頭頚部外科部長に就任して医員を統率・牽引している。当該頭頚部外科は伝統的に手術の技量、なかでも頸部郭清術に定評があり、その手技の発展と伝承に尽力してきた。研究においても、AMED課題のJCOG研究「Stage I/II舌癌に対する予防的頸部郭清省略の意義を検証するランダム化比較第III相試験」の研究事務局を務めて成果をあげてきてきた。多くの学会シンポジウムを主催し、論文執筆も活発である。