受賞報告
受賞課題:川澄会の設立とその後の発展
「瑞友会賞・社会部門賞」受賞のご挨拶
奥田内科クリニック 院長 奥田宣明(おくだ のぶあき)(S47卒)
この度は、瑞友会賞(社会部門)を頂くこととなり、誠に有難く光栄に存じますとともに、関係の皆様に感謝申し上げます。共同受賞対象となりました“川澄会の設立と発展の経緯”につきご説明させていただきます。
約20年前、旧第三内科出身で開業した准教授の米田春毅先生中心に、開業医仲間が集まって情報交換会を開こう、ということになり、丁度神谷武先生(現教授)が医局長となられたので、定期的に集まって、大学の情報や診療上の問題点を話し合う会を設けるになりました。
しかしながら、開業医は大学での専門ばかりではなく、むしろそれ以外の病気も沢山診る必要があります。第三内科の循環器関連ばかりでなく、他科の開業医も加わって頂き一緒に情報交換会を持ったほうが有意義と感じました。丁度、米田先生と親交の深い、耳鼻科の間宮先生に声を掛けたところ、快く賛同していだだきました。間宮先生のアドバイスから、いろいろの科の医師に加わって頂くには、会の形を整える方が良いとなり、前同窓会会長の山路先生にお願いし会長となっていただきました。山路先生とも相談しながら、会の名前も分かり易く、川澄会、としました。ここから川澄会の基礎が出来ました。
病診連携を中心に考えましたので、市大病院を中心とし、市大出身で名古屋市内で開業している医師、を対象に声掛けすることになりました。そこでは、山路先生の後輩の亀井邦幸先生と間宮先生の後輩の和田正樹先生が中心となって積極的に色々な意見を述べて頂だき、名古屋市内16区から、幹事となって頂く方をつのることとなりました。
川澄会の目的を簡単に述べさせて頂きますと、①開業医は自身の専門以外、幅広い知識を増やし、②病診連携の中心を市大病院とするため、新任教授を中心に診療科の状況をお話いただき、③病診連携や診診連携の場合、お互いの顔が見えることが重要で、④開業医のかかえる問題点を気軽に話し合える場を設ける。
同じ大学出身の医師であれば、気軽に話し合え、適度な人数であれば踏み込んで話しやすい。2006年以降、これまでにご講演賜った、先生方の御演題を報告いたします。
- 大手信之先生:心筋梗塞最近の話題
- 戸苅創先生:SIDSの診断基準、進化する名古屋
- 郡健二郎先生:尿路結石はメタボリックシンドロームの1症状である
- 杉浦真弓先生:生殖医療の現状と問題点
- 竹山廣光先生:消化器外科手術における最近の進歩
- 祖父江和哉先生:周術期管理の新たな潮流・栄養療法に出来る事
- 大原弘隆先生:大学が行うべき地域医療教育
- 新実彰男先生:長引く咳の診断と治療
- 城卓志先生:胃酸に関する機能性疾患、市大病院の現状と将来
- 和田郁雄先生:ロコモティブ症候群と介護保険
- 松川則之先生:認知症実臨床と介護保険
- 安井孝周先生:尿路結石診断ガイドラインと最新の予防法
- 渋谷恭之先生:口腔に出来る病気?最新の外科的アプローチとは?
- 松嶋麻子先生:地域を支える救急医療を目指して、大学病院救命救急センターの役割
- 大原弘隆先生:硬化性胆管炎の診断、地域包括ケアシステムにおける大学病院と市立病院の役割
- 飯田真介先生:造血器腫瘍の最新の話題
- 神谷武先生:過敏性腸症候群最新の話題
- 田中智洋先生:認知機能から考える肥満と糖尿病
- 荻野治幸先生:陽子線治療の現状と今後の展望
- 鳥山和弘先生:成形機における再生医療の現状
- 稻田充先生:骨粗鬆症性脊椎疾患と地域連携?手術導入における紹介・逆紹介のタイミング
これまで本当に沢山の教授を始め部門のトップの先生にご講演を頂き、開業医が安心して診療に打ち込める環境となってきました。今後、新しい会員(新規開業医など)が、どんどん参加し、医学、医療をはじめとし、変わりゆく環境に皆と進化適応出来ることを望んでいます。この点、瑞友会副会長の伊藤弘美先生に加わっていただき、ご尽力は多大なものがあります。今後参加して頂ける方は、情報担当の高橋信夫先生等にご連絡頂けば幸いです。
川澄会がこれから益々発展し、名市大出身の開業医の質の向上と会員各位の楽しんで診療出来る環境作りが重要と考えています。皆様の賛同、ご意見など頂ければ幸いです。
- 間宮 敦氏・奥田宣明氏 授賞理由
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川澄会は本学卒業の開業医師の最新の知見の勉強と同窓生の親睦・結束を目的としたもので、当初の立ち上げに間宮氏は多大の尽力し、その後を奥田氏が引き継ぎ名古屋市内全域の開業医師の先端医学・医療の学習塾として組織を固めてその輪を広げつつある。