受賞報告

学術賞を受賞して

[会報122号(2014年9月29日発行)より]
名古屋市立大学 医学研究科 消化器・代謝内分泌内科学 田中 守(H14卒)
名古屋市立大学 医学研究科 消化器・代謝内分泌内科学 田中 守

このたびは、第8回瑞友会賞(学術部門)を頂きまして、誠にありがとうございます。名古屋市立大学医学部同窓生として大変光栄に存じます。

私は、平成15年4月に消化器・代謝内分泌学教室に入局して以来、今日までの間、緑市民病院、大学病院にて、臨床・研究に励んでまいりました。

受賞の対象となりました研究は、「GIST(Gastrointestinal stromal tumor)に対する新規光線力学的治療法(Photodynamic Therapy; PDT)の検討」です。PDTとは、がんに集積性を示す光感受性物質とレーザー光照射による光化学反応を利用した局所的治療法です。現在、日本ではPDTは保険で使用できる光感受性物質とレーザーが限られており、また対象患者も減少し、一時の勢いがなくなってきています。しかし、PDTは高齢者にも安全に低侵襲に行える治療で、今後の高齢化社会で再び脚光を浴びると思われるユニークな治療法であります。

私は5年前からPDTの研究に携わり、胃癌・大腸癌に対するPDTの研究で学位を取得しました。また我々の教室では約2年前より食道癌の患者様にPDTを開始しています。今回の研究は、外科的手術以外に有効な治療法の無いGISTに対する低侵襲な治療法として、新規PDTの可能性を示すものであります。今後実臨床への応用を目指します。

このような受賞の機会を頂きましたことは、根気強く指導して下さいました先生方の、深いご厚情の賜物であると存じます。また、瑞友会が1968年の設立から、多くの先生方の御尽力により、今日があることをあらためて知り、瑞友会の歴史を創られてこられた諸先輩の方々のお名前やお姿にも思いをはせております。

受賞を受けましたことを誇りに、仕事に励み、医師の一人として微力でありますが医療の発展に尽くしてまいりたいと存じます。今後とも、皆様方の尚一層のご指導とご鞭撻をお願い申し上げ、御礼のご挨拶とさせていただきます。

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