受賞報告
学術賞受賞のご挨拶
このたびは、栄えある瑞友会賞を頂き誠に光栄に存じます。会長の奥村恪郎先生をはじめ、選考委員会の先生方、会員の先生方に厚く御礼申し上げます。
私は平成18年4月から愛知県がんセンター中央病院乳腺科にて臨床研究に従事し、平成20年4月から国民健康保険上矢作病院にて地域医療を学んだのち、平成21年4月に大学へ帰局し、山下啓子先生のご指導のもと基礎研究に従事しました。
私の研究テーマは、「エストロゲンレセプター陽性乳癌の発症メカニズムと生物学的特性に関する研究」です。日本人女性乳癌の約8割を占めるエストロゲンレセプター(ER)陽性乳癌は、タモキシフェンなどの抗エストロゲン薬により化学予防が可能であることが知られています。その効率的な予防のために、遺伝子多型・血清バイオマーカー・疫学因子からなるER陽性乳癌罹患高リスク群を同定するモデルを構築しました。また、乳癌組織においてERの発現調節に関与すると予想されるmicroRNAの発現を検討し、miR-18aがER陰性乳癌で高発現していること、miR-18b低発現症例はmiR-18b高発現症例に比べて有意に生存率が良好であることを報告しました。
これらの研究が評価されて、平成24年6月には第18回日本乳癌学会研究奨励賞を受賞することができました。
これまで多くの先生方のご指導に恵まれました。大学で基礎研究を指導いただいた山下啓子先生・遠山竜也先生、愛知県がんセンターで臨床研究を指導いただいた岩田広治先生に、この場を借りて御礼申し上げます。これからも、瑞友会賞受賞者の名に恥じないよう研究を継続していきたいと思います。今後とも、ご指導・ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。