瑞友会会長ごあいさつ
春の息吹が感じられる今日この頃ですが、会員各位にはつつがなくお過ごしのことと推察いたします。平成20年度は瑞友会(名古屋市立大学医学部同窓会)にとっては特筆すべきことがありました。すなわち本学出身の3名の方が医学部教授に選任されたことです。誠に喜ばしいことであると思います。今までも本学出身の多くの方が教授になられておりますが、3名同一年度にというのは初めてではないでしょうか。臨床病態病理学(第二病理学)教室の稲垣先生、消化器外科学教室の竹山廣光先生、脳神経生理学(第二生理学)教室の飛田秀樹先生です。今後の活躍が大いに期待されます。
さて、皆さまもご承知の様に我々医師を取り巻く環境は今まさに危機的な状況にあるといっても良いかもしれません。患者さんの数は増加しているのですが、保険診療には多くの制約が付き効率が極めて悪くなっているのが現状であると思います。高齢の方々はどこで治療してもらったら良いのでしょうか。本人を始めご家族の皆さまも戸惑われておられます。医療の今おかれている立場を医学生、一般の方に理解してもらう必要があると思います。
ローマ皇帝アウレリウスはその著書『不動心』のなかで、「人間には親切、理性が必要であり、雑念の入らない不退転の目的を持つことが大事で、仕事そのものを気分一新の糧にすることがよい」としており、「逃げは解決にはならない」としています。さらに「一日一生の覚悟で事に当たれば憂いはない」とし、「他人への思いで自分の余生を消耗してしまうようなことはやめ、自分の頭でものを考える能力を身につけ、現在、自分が成し得ることを大事にやりとげよ」としています。また「自分の存在意義にかなうような意志行動をしなければならない」ともしています。
20世紀初頭のフランスの哲学者バシュラールは「過去と未来は現在があってこそ存在するもので現在がすべてである」と言っています。【過去は現在の週間の蓄積であり未来は深さのない展望である】としています。図式的な解釈かも知れませんが、今日をクリアーせずに前進はないと理解しても良いのではないでしょうか。